<<前回の続き>
続いてバスに揺られてやって来たのは隣の集落Debring。
バンベルク郡下のStegaurach地区に属する人口500人の集落である。
田舎集落とはいえ、幹線道路B22号線沿ってあるため結構な交通量。
目指した醸造所兼レストランBrauerei Müllerは、そんな幹線に面したところにあった。
創業は1699年。こんな小さな集落にこんな老舗がゴロゴロしているのだから、フランケンのビール紀行は止めらない。
そして、年間1000hlほどを生産するこの小さな醸造所のビールを飲めるのは、この醸造所に併設された店のみ、という「究極の地ビール」だ。
家族経営の小さな醸造所だけあって、敷地のサイズもかわいいもの。
番犬らしき犬が、怪しき侵入者である僕を警戒して、吠え立てていた。
店内に入ると近所のオバさん連中が集まっており、ビールを飲みながら会話に花が咲いいる。訪れたのは夕方の早い時間だったが、既に食事を注文している人も多い。
さっそくビールを注文。
この店の定番ビールはピルス(Pils)とデュンケル(Dunkel)。共に1.9Euro/0.5L、1.1Euro/0.25L(2008年3月の価格)とこの辺りでは標準的な価格で出されていた。
また、ヴァイスビアやボックなど何種類かの瓶ビールが揃う。
まずはデュンケルで乾杯。近くにいる人もこちらにグラスを向けて乾杯してくれた。
続いてピルス。
何だか順番が逆の様な気がするが、これは乗るべきバスに乗り遅れたため、もう一度戻って来て飲み直したため(笑)
「しまった!バスに遅れる!」
と出て行った僕が戻ってくると、店内に歓声が上がった。
小腹がすいていたので、ついでにKaese Brot mit Zwiebeln (2.8Euro)を注文。
直訳すれば「チーズパンとタマネギ」。その名の通り、説明不要の食べ物。
壁にずらりと掲げられているのは、マイスターブリーフと呼ばれる「職人の証」。
歴史のある醸造所には、先祖代々のマイスターブリーフがこうして並んでいる。
こうして本日2つ目の集落巡りは終了。
バンベルク行きのバスに乗って市内に戻る。
と言っても普通に戻る訳はない。
次の一軒が待っている。
〜〜
バスを途中下車し、Stefensberg方面へと歩く。
過去、何度も迷った道なのですが、今ではすっかりと歩けるようになった。
ここにはラオホビールで有名なシュレンケルラ醸造所があり、またその裏山には幾つかの大きなビアガーデンが存在している。
ひとつはバンベルクの中でも一二の規模を誇るWild Rose Keller。
そして、僕が「世界で一番美しいビアガーデンのひとつ」と表現しているSpezial Kellerがある。
この日は偶然どちらも休みで、残念ながらパス。
ただし、今回の目的は他にあった。ある男を探していたのだ。
この丘で、小さな醸造所を営む男がいるとの情報を持っていた。
以前、何度も電話を掛けたり、メールを送ってみても連絡が取れないので、思い切ってその住所へと行ってみることにした。
「ブブブブブブ」
と玄関をならしてみると、一人の老人が現れたので
「ここで小さな醸造所を営んでいる人がいるって聞いたんだけど。。。。」
と訪ねてみた。
しかし、老人がいうには何年か前に引っ越したきりで、その行き先は知らない。との事だ。
残念ながら彼とは縁が無かったようだ・・・。
〜〜
朝、宿の引っ越しから始まった本日の行程。
一旦宿に帰ったら、なぜか寝ていた。
バンベルクにいて、夜をうつろうつろと寝ているのは実にもったい無い!・・・と言う事で近くにある醸造所Spezial Brauereiへと行ってみた。
Spezial Brauereiの創業は1536年。実はこれくらい古い醸造所はこの辺りにゴロゴロしているのだが、ここまで店構えに風格があるのも珍しい。
バンベルクにやってくると、必ず立ち寄っている店の一つ。
写真左:まずは定番のラオホビールを注文。
写真右:これぞ老舗の風格!!
店内にはサーバースペースがあり、そこには木樽が置かれている。
その横にある窓は外でビールを楽しむ人のための窓口であり、ベルを鳴らしてビールを受け取る姿が何とも格好良い。
写真左:サーバーカウンターの内側
写真右:外からの眺め。公衆電話で話をしている人がいると、ちょっと邪魔。笑
一杯だけのつもりだったが、Ungespundetes Bierを注文。
グラスに半分くらいしか入っていないが、これは飲みかけではなく、シュニット(schnitt)と注文し少量にしてもらったからだ。
このUngespundetes Bierというのは、英国のエールなどと同じ上面発酵ビールである。
フランケンをはじめとしたバイエルンでは、上面発酵といえばヴァイスビアが浮かぶが、こんなビールもあったのだ。
ちょっと酸味があり、濃厚なラオホを飲んだ後ではライトな感じがするビールだが、寝酒にピッタリのビールだった。(個人的感想)
宿に帰り、明日の取材の準備をすることもなく、ベットに倒れ込む。
<次回へ続く>>