ビールを求めて路線バスでMuehlendorfへ=ドイツビール紀行2008春(その11)=

前回の続き

まず、訪れたのはバンベルクのZOB。これはZentral Omunibus Bahnhofの事で、訳すと中央バスステーテョンとなる。その名の通り、周辺への路線バスはここを中心に展開されている。
この日の午後はバンベルクのZOBからバスに乗り、ちょっと郊外の集落を目指した。

バスの路線地図と醸造所マップを重ねながら見てみたら、グルリと周遊するバスの中には小さな醸造所がある集落を回る路線も多くあることが分かる。
一時間に一本というローカル路線が多いが、一軒でビールを何杯か飲み、1~2時間後に来るバスに乗れば良いわけだから、本数が少なくても問題無い。

今回の旅はMuehlendorfとDebringという共に小さな集落へ。市バス12系統に乗って出発した。(2008年当時の路線番号)

ZOBを出発したバスはまずは旧市街の細い路地をくねくねと走り、やがて郊外へと出る。一方通行が多いため、かなり遠回りをしている感じ。
帰りも同じバスなので、じっくりと走行ルートを見ていると、丘の上にある醸造所Gleifenklauなどの前も通っているではないか。帰路の寄り道がこの時点で決定。

郊外に出るとバスはスピードを上げる。
ただし幹線を走っていたかと思うとすぐに集落への脇道へと入り、またゆっくり安全運転。そして集落を抜けて幹線でスピードアップ、の繰り返しだ。

幾つかの集落を通過した後に、まず到着したのがMuehlendorf。
その集落名を冠したバス停で降りてみた。
周辺に家が立ち並んでいるので、そのどこかだろうとタカをくくって歩いていても、醸造所らしき物が見つからない。
ちょうど洗車をしていた人がいたので、醸造所の在処を聞いてみた。

写真左:路線バスの内部
写真右:集落の入り口を示す石碑

彼が言うには、なんと僕が歩いていたとは反対方向にあるとの事で、仕方が無く逆方向へと来た道を戻る。
赤い醸造所の建物が見えてたが、その前にはなんとバス停がある。もう一つ先のバス停まで行けば良かったとここで知った。(当時はまだGoogle Mapが浸透していなかった)
ちなみにバスはこの集落をグルリと周り、バンベルクへと戻っていく。

写真左:醸造所遠景、奥に教会が見える
写真右:醸造所近景、バス停の前だった・・

平日午後のガストホフなので客はほとんどいないが、それでも常連席には何人かの老人の姿が見える。

「Gruss Gott(グリュースゴット=こんにちは)」
と声を掛けて席に座るとオジさんが注文を取りにやって来た。
さあ、ビールを楽しみます。

ーー

電熱線ビール!!

フランケン地方の醸造所を歩いていると、よく電熱線がサーバー横に置かれているのを見かける。これ、実はビールを暖めるための物。

この店のカウンターにもそれは置かれていた。
ビールの注文が入るとこれをグラスに突っ込んでジジジジジジ。。。
どれほど熱するのかは不明ですが、ホットビールの完成。

このビール、一体誰が飲むのかと言うとご年配の方々である。

日本のビールに比べ、ドイツのビールは温いと言われている。
これは半分は当たっており半分は間違っていると思う。
「キンキンに冷やさない」というのが一番適当な表現だ。(当研究所の見解)

冷蔵庫に入っている樽、または常温でも10度以下の所に置かれている樽は、日本のそれほどキンキンではなくても、そこそこ冷たいことには間違いない。

で、ご年配の方々はお腹が冷えてしまうためそこそこの温度になるまで、この電熱線の力を借りると言う訳だ。

僕はと言うと、普通の温度でビールを楽しむ。(笑)
ビールは定番のヘレス。
一応、瓶ビールの出荷はしているようだが、樽(von Fass)は他店に卸販売などをしておらずこの醸造所でしか飲めない、いわゆる究極の地ビールだ。

続いてヴァイスビア。
ただし、朝っぱらからずっと飲んでいるし、またこの後もビールを飲む予定が入っているために、「シュニット」で注文。
こうすると、ビールグラスの半分ほどまで注がれたビールが出て来る。

写真左:定番のヘレス
写真右:ヴァイスを半分だけ

最後にオーナー氏からのオゴリでちょっとだけデュンケルを頂く。
またまたほろ酔い加減で一路バス停へ。

次回へ続く>>