農村集落をそぞろ歩き=ドイツビール紀行2003(その6)=

<<前回の続き

まるで農家の様な醸造所

Ueztingから戻って、もとの道を更に1キロほど走りFrauendorfに到着する。
この集落も、農家が数十戸集まっているだけの小さな集落である。
村の中心には教会があり、それを取り囲むようにして村が形成されているが、その中心にあるのがこの村の醸造所Brauerei Hetzel。
併設のガストホフの名は「Zum Pfau」である。
田舎集落らしい一見すると農家の様な大きな敷地に、ガストホフ、醸造所、倉庫などが並んでいる。

写真左:村の中心にある教会
写真右:醸造所全景

残念ながら併設のガストホフは閉まっていたが、醸造所ではビールの仕込み中だった。
ブラウマイスター(醸造責任者)の方がいたのでちょっと話をする。
ブラウマイスターの御厚意で、醸造所内をみせて貰う。
清潔に保たれた醸造所内はさすが。
でも、彼のTシャツが「Guiness」なのは何故??


残念ながらガストホフでビールを飲む事は出来なかったが、
「1キロほど先にあるEndという集落に出荷しているから、そこで飲むのが良いよ」
と教えてくれる。

村のガストホフでビールを一杯

Endという人口100人ほどの村にあるGasthaus “Zum Schwarz Adler”。
このエリアは何も無い様に思うのだが、森があり川があり近くには温泉地Bad Staffelsteinがある、ということで、こんな村にも小さなホテルやペンシオンがある。
このホテルも、そんな田舎を求めてやって来るドイツ人向け。

入口をくぐるとそこはホテルのレセプション。
そこにいたおばちゃんに挨拶し、レストランのドアを開ける。
そこにはまた同じおばちゃんが・・・レセプションとカウンターは繋がっていた。

「マイスターから電話が来たよ、日本人が飲みに行くからよろしくって」
なんと、先に連絡が入っていたらしい。笑

写真右:Gasthaus “Zum Schwarz Adler”の全景
写真左:0.5LのKlugで出てきたビールは定番のDunkel。

遊歩道を登る

Endでのんびりしていたが、日が傾き初めているのに気づく。
今日は山の上にあるWattendorfで2軒ハシゴをして、一気にSchesslitzまで下り、Bambergに戻る予定である。
ここまで来ると引き返せないので、なんとしてでも行くしかない。
(2020年再編集時注:今覚えば十分に引き返せた・・)
Wattendorfまでは約8キロ。さらに、そこからSchesslitzまでは10キロほどある。
問題は自転車のライトを忘れてきたこと。無灯は禁止されているし、何よりも恐い。

Endを出て1キロほど走ると、急に登り坂になってきた。
勾配が緩いショートカットがあったので進むが、ここは自転車道ではなく「遊歩道」だった。
途中から坂がさらに辛くなり、完全な山道に。自転車を担いで山を登る。
坂の上で遊歩道は一般道路と合流する。
薄暗い山道から、汗だくで自転車を担いで登ってきた僕を見つけたオッサンが、
「あんた何やってんだ? 担いで来たのか?」
と水をくれる。

丘の上を走っていると、日がかなり落ちてきた。

Wattendorfで空振り

Wattendorfは斜面にへばり付いた様な集落。着いた頃にはすっかり西日が当たっていた。

1キロに渡り坂道のメインストリートが続く。
2軒の醸造所HueberとDremelは向かいに建っていた。
・・が、一軒は「定休日」でもう一軒は「3週間旅行中」の張り紙。
疲れがどっと出てきた。

下り坂を一気に降り、Schesslitzに到着したが、すっかり夜になっていた。
途中でガソリンスタンドで軽食を摂る。
ライト無しで走るのは危険なので、ここでタクシーを呼んでもらい、タクシーのトランクに自転車を積みBambergに向かう。

この運転手がビールに詳しく、この醸造所が良いだとか、ここのビアガーデンは最高だ、といろいろな情報をくれる。
早速翌日の参考にさせてもらう。

次回へ続く>>