<<前回の続き>
まずはバンベルク散歩
まずはバンベルク大聖堂までやって来た。
日曜の午前中ということもあり、街は何だかノンビリとした空気が流れているが、大聖堂の荘厳さは不変。
友人のルディがここにお祈りに来ているというので、大聖堂の前で落ち合って近くにある「シュレンケルラ」へ。
ラオホビールの名店として有名な「シュレンケルラ」。
旧市街の真ん中という立地もさることながら、店そのものが歴史の1ページのような雰囲気を持っており人気がある。確かに、何度行っても最高の雰囲気を持っている。
写真左:訪問した時期(夏)はラオホビールのみだが、秋はラオホボックも飲める
写真右:ルディの友人。この店には毎日来ているらしい。
ちょうどドルトムントから友人のクラウス夫妻がバンベルクから10数キロの所にある村に来ていた。なんでも、友人の結婚式が昨夜あったらしく、今日の夕方までヒマだという連絡があった。
今回はドルトムントに行く予定がないので、この街で会うことにした。
昼下がりのビアガーデンは満席!
シュレンケルラでラオホを一杯飲んだだけで、丘の上にある醸造所Greifenklauに足を運ぶ。町外れからやって来るクラウス夫妻にとって、車が入っていけない市内中心部よりもこちらの方が都合が良い。
ちょうどこの日はGreifenklauのある地区での祭り(フランケンでは夏祭りを「Kirchweih」と言います)だということで期待していたがまだ準備段階。
子供を相手にお菓子を売る店が少し開いている程度で、広場の特設ビアガーデンには誰もいない。
とりあえず醸造所のビアガーデンに席を取る。
この1719年創業の醸造所「Brauerei Greifenklau」に来るのは数回目。
いつもは開店直後など時間が悪かったのでガランとしていたが、今日は午後から近くの教会で祈りの時間があるためか、ビアガーデンはほぼ満席。
一番手前の夫婦+オジサンのテーブルに同席もらう。
ビールはヘレス。
ビアガーデンでは、保冷のために陶器製のジョッキでだされることが多い。
ビールを運ぶ側にとっても、トレーにグラスを幾つも載せて歩くより、ジョッキをしっかりと掴んで運ぶほうが良いのだろう。
日本では陶器ジョッキを使うと、内側がザラザラしているため泡立ちがとても良いが、こちらのジョッキはツルツルのためか、それほど泡立ちが良くない。
ビールが運ばれてくると、隣のオジサン達に向かって
「Prosit!(乾杯)」
隣のオジサンがチキンの丸揚げを食べ始めた。
これにクヌーデルンと呼ばれる団子が二つ、そして付け合わせに赤キャベツのザウアークラウト。大きさもフルサイズとハーフサイズとあり、注文しようか悩む・・・・・。
メニューを見ながら周りを見回していると、オジサン夫婦と、同席しているもう一人のオジサンが、あれにしろ、これにしろ、とアドバイスをくれる。
結局、あばら肉のステーキに決定。
クヌーデルンは腹一杯になってしまうため、
「1個でいいよ」と注文。
遅れてやって来たクラウス夫妻も腹が減っていると言うが、こいつを食べ終わったら、郊外の村の祭りに行こうなった。
ここは混み合っているので、それよりももう一軒に行った方が楽しめそうだ。
「ビール、もう一杯飲むかい?おごるよ?」
と隣のオジサンが誘ってくれたが、泣く泣く断って外へ出る。
ビールを飲みながら、延々と拡がる丘を眺める
バンベルクの北東数キロの所にある「Geisfeld」の集落でも教会の祭り「Kirchweih」が行われているとの情報をキャッチ(?)したので行ってみる。
クラウス夫妻は夕方にはここを経ってドルトムントに戻るということなので、市内散策の方が良いんじゃないか、とも思ったが
「バンベルク市内は遠いけどいつでも来れる。オマエと一緒じゃないと小さな集落を回ることはないから、良い機会だ」
と嬉しいことを言ってくれる。
誤情報なのか、祭りはやっていない。
しかし、ちょうどGeiskellerというビアガーデンがオープンしていたので、そちらへ向かう。
(2020年再編集注:2007年当時はまだ何でもかんでもスマホで情報収集する時代ではなかった)
ビールを貯蔵する地下室の上に作られた建物には、厨房やちょっとした客席がある。
基本的にはビアガーデンなので席は外のみ。
ビールはセルフサービスなので、一番込み合う時間帯にはここが行列になる。
ちょっと曇りがちだが、やはり良いビアガーデンだ。
飲んだビールはケラービアと呼ばれる物だが、要するドゥンケル。フランケンではあまり名前は気にしていない。ケラー(ビアガーデン)で飲むから「ケラービア」と。
厳密に区分すると、ケラーが貯蔵庫として利用されていた時代のビールで、夏を越すためにちょっと麦汁濃度を高めに設定してあるビール、と言うことできる。
冷蔵庫は発達した今でも、こう言ったノスタルジア溢れるビールを造るのは、季節感を大切にしたいからだろう。
飲み手の気分も、もちろん盛り上がる。
裏山のビアガーデンにリベンジ訪問
TiefenellenはビアガーデンのあるGeisfeldから15分ほどクルマで走った所にある小さな集落。
ビアガーデンで近くに座っていた人の話では、ここでは間違いなく地元の教会の祭り「Kirchweih」が開かれているというので、クラウス夫妻と共に行くことにする。
実は、ここも何年前に訪れたことがあるが、雨天だったため美しいビアガーデンが開いていなかった。良い機会なので、そこに立ち寄りたい。
村に近づくにつれ、人もだんだんと増えてきた。
中央にある小さな広場には祭りのシンボルであるKirchwehbaum(キルヒヴェーバウム)が見えた。まだ建てられた直後なのか、飾りつけは完全にされてはおらず、何人かの人が木を囲んで装飾の準備をしていた。
近くには小さい教会が建っている。小さな建物だが、地元の人々が交代で管理しているのだろう。花壇や内装も美しく維持されている。
集落の人々が開けっ放しの教会にやって来ては、思い思いに祈りを捧げていく。
この醸造所の名前は「Brauerei Hoenig」。直訳するとその名は「蜂蜜醸造所」(笑)
しかし、それに併設されたガストホフの名は「Zur Post」と言う。
コースターに描かれている醸造所のシンボルは、郵便ラッパと封筒であるから、このは以前、郵便業務やっていたと予想できる。
(Brauerei Hoenigの詳細はこちら)
以前、雨で開いていなかったビアガーデンに今回は無事に入れた。
醸造所の裏山の斜面を利用した古いスタイルで、かつ美しいビアガーデン。
祭りということもあり、昼間から近所友人家族恋人連れの人々が三々五々に集まってきている。
もっと大きな集落だと、祭りといえば広場に出店が出て、臨時のビアガーデンがオープンしたりするが、このレベルの大きさの集落の場合はその会場は醸造所及びそのビアガーデンとなる。
ビールが地域に根付いている、何ともほのぼのとした例。
小さな集落の夏祭り
クラウス夫妻と別れて、一旦友人ルディ宅へ。
ここでLohnfdorf の祭りの話をしてたら、皆で行こうとなり一家共々足を運ぶ。
先ほどの集落Tiefenelleiとは隣の集落なのだが、なんだかんだで2時間くらい経過しており、醸造所に着く頃は夕方になっていた。
祭りも盛り上がっており、かなりの人がビアガーデンには集まっている。
さて、ビールを注文する。
普通はビアガーデンともなればビールはセルフサービスなのだが、この日は祭りということもあり店側も接客スタッフを揃えている様子。
ビールは「Kirchweih-Bier」と呼ばれていた。中身はビールはいわゆる「ドゥンケル」であるが、0.5L/2ユーロ、1L/3.8ユーロと普通に比べてちょっと高い価格設定がされている。(2007年現在の価格)
以下は周辺で飲んでいた人から聞いた話。
普通のビールよりも高いのは、この費用の中に「テントの設置」や「ブラスバンド」、「臨時に雇った店員」の費用が含まれているという。
客の側も「楽しい場所と時間を提供してくれてありがとう」という意味を込めて、普段より少しだけ高いビールを喜んで飲むのだ。
客と店とが協働で集落の祭りを実施している感じで、とても良いシステムだと思った。
ただし、高いと言ってもあくまでフランケン地方の感覚。ミュンヘンあたりだと1Lのビールでもっと高い価格設定だ。
ステージでは、ブラスバンドに合わせて3人の歌手が交代で歌っている。
レンズを構えていると、休憩中の歌手が「ここで撮れ」と手招きしてくれた。
歌われているのは「Schlager(シュラーガー)」と呼ばれている演歌の様な歌謡曲。
1960〜80年代くらいに流行った音楽が主流で、サビの部分では会場が大合唱になる。
このシュラーガーというカテゴリーの定義は難しいが、友人によると
「普段は家で聞くことはないが、昔からなぜか知っていて口ずさめる曲」
だそうだ。
演奏しているブラスバンドは老若男女入り混じった地域楽団のようなもの。
田舎街でも年齢を問わず音楽をずっと楽しんでいける環境が整っているのは、さすが音楽大国ドイツ。
<次回へ続く>>