集落のビアガーデン=ドイツビール紀行2006(その10)=

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丘を下りてHallerndorfの集落に戻る。
先ほど通った時には閉まっていたビアガーデンがオープンしていた。

醸造所を案内してくれた主人が教えてくれたので気にはなっていたのだが、やはり開いていると無視できない。
ビールを飲む時間は無いが、ちょっと覗いてみた。

集落内にあるこうしたビアガーデンのことを「Dorfkeller(ドルフケラー)」と呼ぶことがある。Dorfとは村の事、そこにあるKeller(ケラー/貯蔵庫の意味からビアガーデンの意味になった)。

入口には窓があり、ここでビールを買うシステムである。
中には樽が置かれ、ビールを連続して注いでいるが食事系は例によって別棟にある。
窓の横の棒に吊られているブリッツェルがなかなか良い感じだ。

集落内のビアガーデンは大人のスペースと言うだけでなく、子供達の遊び場でもある。
設置された遊具で遊び、疲れたらそこで休む。

写真左:ビアガーデンの入口
写真右:遊び疲れた子供達が飲み物を買いにやってくる

■Erlangenから列車

今日はもちろんMemmelsdorfのRudiの所へ帰るのだが、そのまま来た道を引き返すのは時間的にも体力的にも無理があるので鉄道でBambergまで帰ることにした。
通りかかった車にErlangenの駅まで送ってもらうが、次の列車までは約1時間・・・。
(Googleマップという物が普及する前は、こういう事がよくあった)

■踏み切り番の話

踏切番という言葉が日本から消え去ってしまっても、どっこいドイツには居る。(2006年当時)
駅の横の踏切に限ったことだが、旅客列車の到着はもちろん、特急や貨物列車の通過の時も駅員らしき人が何分か前に踏み切りを閉じる。
車掌だけはキッチリとした制服を着ているが、多くの鉄道員は私服姿で仕事をしている。踏切番達は面倒くさそうに駅舎に入り、スイッチを入れて暫くは外でタバコをふかしている。知らずに見たら、彼の姿は駅にたむろしているオジサンにしか見えない。しかし、駅員なのである。
服装の割にはドイツ人らしく時間管理だけはしっかりしているのか、時刻表から少し余裕を持って遮断機を降ろす。安全のためには遅れるよりは早い分には構わない。しかし、その待機時間は非常に、いや非情に長い。運が悪いと数分間閉まりっぱなしである。
これにはスローライフを謳歌しているように見えるドイツ人の中にも文句を言う人が結構いて、踏切番に向かって指を立てて怒っているではないか。

駅構内からの遠隔操作ではあったが、ここErlangenの駅員も踏切番を兼ねていた。
列車がやって来る数分前に駅の扉が開いた。ビュンビュンと各種の列車が通過するので、一応安全のために列車到着時にしか立ち入る事の出来ないようになっている。日本の駅と違いホームが低いので、目の前を車輪がかすめていくことになる。何かの拍子にコートが巻き込まれたりしたら一瞬にして命を落とすであろう。

■Memmelsdorfで夕食を

バンベルクに着いてから、バスでMemmelsdorfへ。

午後8時を過ぎ、そろそろ陽が傾きかけてきたが、今日のビアライゼはまだ終わりではない。夕食も兼ねて、Memmelsdorfにある「Brauerei Drei Kronen」へ向かう。
ご主人とは数年の付き合いで、新作ビールが出来たからとメールをくれたこともある。今回この地へ訪問しているのは知っているようだが、ちょっと夕食ついでに挨拶をしようと思う。

店内に入るとそれほど混んでいない。そうだ、今日は平日であった。
それでも常連席にカードゲームを楽しむ初老の数人が、そして食事をしている家族が一組、中年の男女3人組が何やら色々なビールを試しては話をしている。
軽く会釈をしながら席に着き、メニューをみる。

今日2回目になるがSpagel(白アスパラガス)を注文する。シンプルに茹でただけの物にバターソースをかけて頂く。

ビールはこの醸造所の名物「Stäffla」を注文。これはバンベルクを中心としたエリアで飲まれている燻製麦芽で造ったビール「ラオホビア」であるが、この醸造所ではその名称は使わず、頑なに「Stäffla」を名称としている。

日本でもバンベルク市内のHeller醸造所のラオホビアが購入出来るので、味わったことのある方も多いかもしれないが、Drei KronenのStäfflaは、それと違ってもっと燻製の香りが弱い。
市内にはSpezial、Hellerとラオホビアが楽しめる醸造所が2軒あるが、その周辺の集落にも同じようにラオホビアが楽しめる醸造所が何軒かあり、これらを発見するのもビアライゼの楽しさのひとつだ。

次回へ続く>>