<前回の続き>>
ドイツ人は、クリスマスを大切にすると同時に、年末年始のカウント・ダウンも楽しむ。カレンダー上は元日のみの休日であるが、多くの人々(特に若者)はその時期に有給の何割かを使い2週間ほどの休暇をとる。
友人達はその休みを利用して海を求め(?)オランダまでやって来た。
そして何をするかと言うと「何もしない」。ひたすら語り続け、ビールを飲む。
そして大晦日の19時からは”Dinner for One”という、なぜか30年以上も前からドイツでこの時間に放送され続けているイギリスの喜劇ドラマ(約20分)を観て、毎年同じところで大笑いをする。
Dinner for Oneを観るために一つのバンガローに集まってきた友人達。
一年ぶりの再会で話しも弾む。
当時はみんな学生だったが、今はそれぞれが職を持ち、ある者は家庭を持つ。同居していた友人Tも、パパになった。
時計が午前0時に近づく頃、みんなで外に出て「その瞬間」に備える。
備えるものは「スパークリングワインとグラス」「花火」、そしてマフラー。
外は氷点下。
0時。「Froh Neues Jahr!(新年おめでとう!)」と花火をあげる。近くにいる別の集団とも挨拶し、乾杯をしてイベント終了。
また部屋に戻り3時過ぎまで話し続ける。
翌日 ドルトムントへ
何人かはまだAlkmaarに残るが、同室であった4人と一緒にDortmundへ向かう。
その前にみんなで近郊の街Burg am Zeeへ。
海に面した街を歩くことを好むドイツ人は多いが、彼等もしかりである。
天気は、この時期に相応しい「雨」。
海岸に面しているので風も強い。しかし、彼等は海岸を歩こう、と言い出す。
子供連れの何人かは、近くのカフェで待っているということになり、彼等を残しみんなで砂浜を歩く。
「日本人は何故こんな時期にヨーロッパへ来るのか?」
と多くの人々が疑問を持つ。
ドイツ人の散歩好きは有名で、それに付き合うのは体力を伴う。「Spazien gehen」というと「散歩をする」と訳される。
彼等はSpazielenするときは、最低でも2~3時間は歩き続ける。ひたすら海岸沿いを1時間半歩き、そのまま折り返したり、それらしきコースを見つけぐるりと一周歩いたり・・・・。それは日本人の思う「散歩」ではなく、ウィーキングの部類。
この街に残る何人かと別れ、Drotmundへ向かう。もう暮れかけているオランダの風景は、やっぱり運河と湿地しかない。しかし、そんな風景も、ドイツに近くなるに従って煙突が目に付くようになる。いつしか車は国境ゲート跡を抜け、ルール工業地帯に突入する。車の量も増え、さらにどの車も加速を始める。
Dortmundには20時前に到着した。
ちょうど一年ぶりのDortmundである。これから何日か世話になるArntとAnneの家は、僕が7ヶ月ほど住んだ家から300mほどの所にあり、近所は庭の様に知り尽くしている。
この日は近所のピザ屋で買ってきたピザとなつかしいDortmund Bierで夕食を摂るが、何となく体の異変に気づく。ノドが痛く、話をしているのも億劫になってきた。明日は早く起きてWuerzburgまで日帰りでビールを飲みに行く予定なので、今晩中に直さなければ、と焦る。ネットで明日の列車を検索し、早く寝ることにした。
<次回へ続く>>