800年以上の歴史を持つ老舗醸造所
Klosterbräu Irsee(イルゼー修道院醸造所)はロマンチック街道から西へ20kmほど外れたAllgäu(アルゴイ)という街の外れにある。
ここはベネディクト派の修道院で、12世紀には現在の形が形成されていたという。
広大な敷地の中には修道院と共に醸造所、直営のレストラン、ホテルが点在している。
醸造所の創業は1182年。
醸造所レストランの店内は、特に宗教色が強い訳ではなく、一般的なレストランなどと変わらないが、やはり建物その物が古い。
レンガの壁や、弧を描く柱など、中世からの建物を補修を重ねて使用していることが想像できる。
店内の構成は三つ。屋内と中庭、そしてガーデン。
中庭と言っても簡易的な屋根が付いており、中央には薪ストーブが備え付けられているので、冬季も仮設の壁などを設置して開放しているものと思われる。
個人的な意見であるが、ドイツ人はとにかく外が好きで、少しでも外に近い席があったらそちらへ行く傾向にある。(偏見かもしれないが・・・)
Ur-なビールのラインナップ
さて、店員さんを呼んだら、バイエルンらしく立派な腕をした中年女性が注文を取りにやってきた。
ビアリストを眺めると・・・・
Kloster Urtrunk (0.4l 2.9euro,0.5l 3.2euro)
Kloster Ur-Dunkel (0.4l 2.9euro,0.5l 3.2euro)
Kloster Urweisse (0.5l 3.1euro)
Kloster Starkbier (0.4l 3.2euro,0.5l 3.5euro)
と記されている。(値段は2008年当時のもの)
ここで並んでいるのは「Ur」という言葉。
これは「昔からの」という意味を持っている接頭語(?)であり、ここでは「中世の昔から変わらないビール」であることを記している。
一般的に、その醸造所のフラッグシップ的なビールが一番上に書かれているが、ここのそれはUrtrunk。これは「昔から飲まれているビール」という意味。
写真左 Urtrunk。
実際にこれだけ明るい色のビールが中世から飲まれていたかどうかは定かないが、完全にろ過されていないと言う事、そして「Urwuerzig(昔ながらのスパイス)」で醸造されているというと、ホップ意外の薬草などが入っているようす。
写真右 Urdunkel。
こっちの方が昔っぽいが、2番手に載っている。
今でもバイエルン周辺の醸造所のスタンダード系。
写真左 Urweiss。
0.5Lしか価格設定がされていない、というのがミソ。
この場合は、「Von Fass」(樽から)ではなく「瓶売り」という意味。
樽から出される場合は、0.2Lだろうが、0.4Lだろうが量は自由だが、瓶の場合はもちろん一本飲み切り売りが基本
写真右 Starkbier。
陶器ジョッキに入って出てきた。「stark(シュタルク)」とは「強い」という意味。
その名の通り、アルコール度数も高く、かなりドッシリとしたビール。
この修道院を訪れたのは、ロマンチック街道を車で南下しながらの旅の途中だった。
おおよそ修道院というのは不便な場所にあるのだが、ここも然りで、公共交通でのアクセスは難しい・・・。
▪️Information▪️
Irseer Klosterbräu
Klosterring 1,
87660 Irsee
公式WEBサイト