老舗修道院醸造所が掲げる「新しい時代の純粋令」
ビールの歴史の中で、修道院が果たした役割は大きい。
そんな修道院の中でも、現存する世界最古の醸造所でもあるKloster Weltenburg(ウェルテンブルグ修道院)や、醸造学校を併設し今や世界的権威とも言えるKloster Weihenstephan(ヴァイエンシュテファン修道院)などは、その後の資本投入などもあって世界的に有名な存在であるが、実はあちこちに有名無名の修道院醸造所およびその流れを組むものがある。
ここWeißenoheの修道院は醸造開始が1058年と、前述した修道院と遜色ない。ただし大きく商売をしていないので全く無名の存在であり、僕自身フランケン地方をうろうろして気が付いた。
修道院醸造所では、ずっと修道院が経営を続けているケースばかりではなく、醸造所やその直営レストランなどは民間に売却されることが多い。この醸造所の場合は現在のオーナー一家が1827年から経営を続けている。
写真左:ガストホフ外観。天気のいい夏の日はテラス席が気持ちよさそう。
写真右:中庭の奥の方にある醸造所設備。
ガストホフに入ると「本日のメニュー」的な黒板がお出迎え。
訪問した際は「水曜日はハクセの日!」と銘打っており5.5ユーロで販売。
(訪問は2010年)
新しい時代のビール純粋令
この醸造所のコンセプトは「新しい時代の純粋令」。
これはビールは「麦芽、水、ホップを原料にする」というビール純粋令に加え、「それがエコである」を追求したものである。
定番のビールはAltfrenkische Klosterbier。
Altfraenkisheとは「フランケン地方伝統の」という意味であることから、昔からのスタイルであるデュンケルが出てきた。
その他はBenediktiner Pils(ベネディクト派のピルス)、EXPORT Dunkel、Weissbierなどのラインナップ。
「ハクセの日」の看板メニューであるハクセ。
ミュンヘンのホフブロイハウスなどで出されるのと比べると若干小柄であるが、言い換えれば程よい量であり、抵抗なく食べられる。
付け合わせのクヌーデルンとともに、この値段でこの内容はなかなかのコスパ。
Information
Klosterbrauerei Weißenohe
Klosterstraße 20
91367 Weißenohe
<最終訪問 2010年8月>
Weissnoheはこんな街
修道院を中心に広がる人口1000人ほどの小さな街。
行政的にはForchheim(フォルヒハイム)に属するが、交通的にはNurnberg(ニュルンベルク)との繋がりが強い街。
訪問した当時はニュルンベルクから近郊列車が伸びていたが、今回アップに当たって再度調べてみたらBus SEV(代行バス)に変わっている。
フォルヒハイム方面からもバスでアクセスできるが、丘を越えてあちら側の谷からやってくる。小さな集落をつなぎながらのバス路線なので、それはそれで気持ち良いのだが本数が少ないのが難点。