醸造所には泉(Quelle クエレ)があります。
泉というと何だか素敵な響きですが、まぁ多くの場合豊富な水が湧き出る場所に醸造所が作られているのは確かです。
原料のほとんどは水ですから、地下水を汲み上げる、または近くの泉から引いてくる、という方法で醸造所はビールを作り続けてきましたが、実は、醸造所で作られているのはビールだけではありません。
多くの醸造所では水を原料とした飲み物を生産しています。
一番シンプルなのは「Wasser (水)」。ただし、ほとんどは炭酸水です。
炭酸ガスを注入することにより、ただの水は「加工品」へと変わります。
水を詰めて売るだけでなく、ひと過程加えることで多少高く売れます。
続いて各種清涼飲料水。
炭酸水にちょっとフレーバーが付いた様なサイダー系は人気があります。
写真はレモネード。さすがにレモネードの香りつけの液体は調達品ですが。
オレンジジュースやアップルジュースの場合も、どこかで稀釈果汁を調達しこれを水で割って瓶詰めします。
ラベルに書かれた醸造所名。
地ビールならぬ地水、地サイダー、地オレンジジュース。
これら日本でも普通にありますが、一番の違いは
「お土産用に準備されていない」
という事でしょうか。
集落の人々が、普通に飲む水であり、ジュースです。
販売も周辺集落のスーパーや酒屋の日用品の飲み物コーナーに置かれる程度で、1L瓶×6本のプラケースに入って全てリサイクルです。
人々は空瓶の入ったケースを持ってきて、それと交換する様に新しい物を買っていきます。
周辺地域のみに流通する、なかなか隠れた存在の物を探すのもビール紀行の楽しみのひとつです。
ちなみに店でこれらの水やジュースを飲む場合、ビールよりも値段が高いこともあります。(笑)