<<前回の続き>
Sesslachを離れバスで来た道を戻る。
そしてCoburgからはまたまた列車に乗った。
しかし、拠点としているバンベルクには戻らず、
反対方向のバイロイト行きの列車に乗り込みBurgkunstadt(ブルグクンシュタット)へと向かった。
BurgkunstadtはLichtenfels郡に属する小都市で、人口は約6000人。
いつも巡っている集落から比べると、かなり大きな街と思えるのが不思議。
写真左:Coburg駅のホーム
写真右:Burgkunstadt駅。田舎によくある低いホームで道から直にアクセス可能。
列車を降りると駅前は何もない。
街の中心はここから20分ほどの距離にある丘の上らしいので、テクテクと歩いてみた。
立体的な街で、所々に階段がある。
人がやっとすれ違うことができるほどしかない細い階段で子供達が遊んでいる。
それを横目で見ながら進んで行く。
所々、倉庫代わりに使われているケラー(Keller)があった。
時には野菜庫に、時には物置に、そして時にはビールの貯蔵庫に使われているケラーだ。
細い路地の階段を上って行くと、広場に出た。
どうやらここがBurgkunstadtの中央広場のようだ。
小さくても美しい教会を中心に、家々が並んでいる。
Brugkunstadtには醸造所が3軒ある。
それも3軒がそれぞれ近くに位置しているために、ハシゴが可能というビアライゼには理想的な街だ。
まず訪れたのはBrauerei Hellmuth。
丘の上にあり、そこから街を一望できる。
しかし、それを全く「売り」にしておらず、店内からは全く外は見えない。
丘の上にある旧市街の端っこにあるため、展望が確保されている。
そこから街を見下ろすと他の醸造所も見えた。
店内でビールを楽しんでいるのは、近所のオジさん達。
皆、自分専用のジョッキにビールを注ぎ、あれこれと世間話をしながらビールを楽しんでいた。
一人で店に入って来た僕を、
「お〜い、せっかくだからこっちで飲みな。」
と常連席「Stammtisch(シュタムティッシュ)」に招いてくれた。
ここのビールは、Vollbier、Dunkels、そしてExportだ。
基本的に、定番はVollbierなのだが要するにこれはHelles。(その辺りの解説はこちら)
南ドイツの定番中の定番ビールであるこのHellesを毎日飲みに来ている、というオジさん。何だか品が良い服装をしていた。
「オジさん、何だかビシッとしていますね」
と話すと、隣に座っているオジさんが
「そりゃそうだよ。彼は市長なんだからさ」
と教えてくれた。
ビシッとしたバイエルンのスーツで現れたのは、なんとこの街の市長さんだった。
しかし、ずっとこの店の常連さんらしく、スッと会話の中に溶け込んでいくのがナイス。
BurgkunstadtのKulmbacher Str
この通りには、何と3軒の醸造所が並んでいた。
ただし「いた」と過去形にしたのは、手前左にある醸造所は現在稼働していないから。
そうは言っても、先ほど訪れた丘の上の醸造所Brauerei Hellmuth(Lend 9)と、左奥にあるBrauerei Guenter。右側にある木組みが美しい建物は、Gick Braeuの直営店。(醸造所自体はちょっと離れたところにある)
下の地図で言うと、AがBrauerie Hellmuth、BがBrauerei Guenter、そしてEがGick Braeuの直営店となる。それぞれ1900年、1840年、1814年創業とフランケンでは新しいほうの部類。
まず二軒目として訪問したのは、Gick Braeu。
店内はなぜか家族団らんをしているのでおかしいな、と思ったら何と定休日。
しかし、せっかくなので交渉した結果、
樽は繋がっていないのだけれども、瓶なら飲んで行きなよ、との言葉をもらった。
Gick Braeuのビールはエクスポート、デュンケルの他に、Land Bier”Schuster Oel”と名乗るビールがあったのでそれをチョイス。
ちなみにLand Bierとは「ローカルビア」の事。
まさに地元で愛されているビールだ。
内容的にはヘレスで、麦芽の甘みを十分に楽しみながらビールを楽しませてもらった。
次に訪れたのは、Brauerei Guenther。
通りに面した小さな入り口は、典型的な田舎の醸造所。
中が見えないのでちょっと不安になるが、最近はすっかり慣れたのでそのまま店内へと入って行く。
驚いたことに日本語が見える!
実はこの醸造所、10年ほど前に日本の地ビール関係のイベントにゲスト出演したことがあるのだとか。
店番をしていた年配の男性はここのご主人だが、彼の娘さんがこのイベントに出席したという。
娘さんは(既にお母さんの年頃)跡継ぎとして現在はブラウマイスターの資格を取りこの醸造所のビールを醸していた。
店内はごく普通のガストシュテッテの様相。
入り口付近のカウンタでビールが注がれ、奥の厨房で料理が準備される。
田舎の醸造所らしく、今日のビールは一種類で「ヘレス」のみ!
3軒目なので小さいグラスで注文し、ゆっくりと飲み。
この街に来てずっと飲み続けているのに、食事提供をしている所に巡り会わなかったので小腹が空いてきた。
「軽食(Brotzeit=ブロートツァイト)なら出せるよ」
と言うので、
いろいろある軽食の中から一番シンプルなSchinken Brot(ハムとパン)を注文。
ハムは大きな物が一枚。
あまりの大きさでスライスされたパンがスッポリと隠れている。
これを食べつつ、ブラウマイスターから日本での思い出話などを聞いた。
Burgkunstadtのビアライゼはこれで終了。
列車でバンベルクへと戻る。
<次回へ続く>>