タリスに乗ってドイツへ=ドイツ・ベルギービール紀行2008春(その8)=

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ベルギーの駅はフランス語とオランダ語の二カ国語標記が多い。
正確にいうと、ベルギー全土ではないのだが、ブリュッセルを中心としたエリアでは、少なくともそうなっている。

ここはブリュッセル南駅。
Bruessel Midi/Suidとやはり二カ国語での標記がある。
南駅と言いつつも、街のヘソとも言うべきグラン・プラスにも近く、僕自身は長い間ここが中央駅だと思っていた。
なぜなら、このMidiというのが、Middleと同義と思っていたので・・・。

列車を待っている間は、ビアバーでビールを楽しむ。
丸いカウンターでは、男達がビールを手に新聞なんかを読んでいる。
しかし、タバコの匂いに勝てず、すぐに退散・・・・。

南を指す言葉として、「Midi」はフランス語、そして「Suid」がオランダ語。
僕が一番得意としているドイツ語では、南は「Sud」。やはりオランダ語と似ている。

この駅はドーバートンネルを越えてロンドンへと至るユーロスターの始発駅、そして、フランスはパリ方面、ドイツはケルン方面へと路線を拡大している高速列車Thalys(タリス)の停車駅でもあるため、ベルギーのみならず、欧州の交通の要所的な存在でもある。

往路ではケルンからドイツ鉄道系の高速列車「ICE」に乗ってやって来たが、戻りに関しては
「往復で違う物に乗りたい」
という僕の性格上の理由から、フランス国鉄系の高速列車「Thalys(タリス)」に乗ってケルンへと向かうことにした。

ワインレッドなカラーにもを包んだタリスには、新旧のデザインがある。

写真左:「元祖TGV」とほぼ同じデザインでちょっと角張っている
写真右:最新TGVと同じ丸みのあるデザイン


どちらも高速列車の雰囲気が出たデザインであり、男ならば鉄分の少ない人でもワクワクする。

全身ワインレッドという訳ではなく、両端にある運転台付き動力車以外の車両は、グレーにワインレッドのラインが入っている。
壁面のロゴは、シンプルながらタリスの特徴をよく捉えた傑作だと思う。

車内はこんな感じ。
ICEに比べると、かなり窮屈な感じがする。
世界最高速度を出すために極限まで絞り込んだ、という印象が拭えないが、
「これから高速列車に乗るぞ!」
という気持ちになることは間違いない。

これに乗ってブリュッセルからケルンへ向かう。
その後、デュッセルドルフへ。さらにデュッセルドルフからは夜行列車でミュンヘンへと南下する。

写真左:ケルン中央駅に到着。始発駅はパリだった。
写真右:タリスの側面

終点のケルンから、デュッセルドルフを目指す。
この日は、デュッセルドルフからミュンヘンへと夜行列車で向かうが、実はその列車は隣国オランダはアムステルダム発。
ブリュッセルからアムステルダムへ向かい、そこから始発で乗ることも考えたが、アルトビールの飲みたさから一度デュッセルドルフへと向かうことにした。

幾度と無く訪れているデュッセルドルフ。
今回は2年ぶりの訪問だが、勝手知ったる我が町(?)のようで、いつも立ち寄っていたケバブ屋で軽く食事をする。
ケバブは野菜タップリ、マトン肉タップリのトルコ風サンドイッチといった感じの食べ物で、ドイツにおいては国民食的に普及している外来食のひとつ。

写真左:店内の様子
写真右:典型的なケバブ

デュッセルドルフ初め、ライン・ルール地方の各都市には、ケバブ屋があちこちにあるため、食費の切りつめにはとても役に立つ。
さて、お腹も落ち着いたことであるし、アルトビールを飲みに行こう。

まずは中央駅から少し離れた場所にある旧市街へ。
名店「Zum Uerige」。ここが在独時は週1位のペースで訪れていた馴染みの店。
寒い雨の夜なのに、なぜか外で立ち飲みする人々がいるのはいつもの事。
デュッセルドルフの不思議な光景のひとつだ。
僕は寒いなか立って飲む気力もなく、もちろん店内に入る。
入口付近の立ち飲み場は満員御礼状態だったので、奥のホールへと移る。
ざっと見ると席に座っている人は観光客、立ち飲みは地元民といった感じか。
なぜ分かるかというと、座っている人は、ビールの写真を撮っているから。笑

せっかくだからハシゴ。
続いてやって来たのはOst strasseにあるBrauerei Schumacher。
ここは中央駅にも近いので、電車に乗り遅れた時などに時間潰しで飲んでいた店である。
時間がない時も旧市街まで行かずに飲めるオススメの店。

さっと飲むときには、この様な立ち飲みスタンドが便利だ。
目の前で木の樽に入ったアルトビールが次々と注がれており、見ていても飽きない。
一杯のつもりが2杯、3杯となってしまうのはいつもの事だが、この雰囲気に浸って飲むのがまた良い!!。

グラスに残った美しい泡。
美味しいビールをたくさん飲んで、フワフワした足取りで中央駅へ歩く。

さて、ここからは夜汽車の旅。
ここ、デュッセルドルフから乗り込むミュンヘン行きの夜行列車は、実がアムステルダム発チューリッヒ行きの国際列車である。
しっかりした寝台車を予約しようと思ったのだが、満員御礼状態で残念ながら確保できず、今回は簡易寝台を予約してある。

列車は、23時過ぎの発車であるが、コインロッカーの荷物をピックアップしたり、荷物整理をするため、早めに中央駅に戻った。
最後に駅内でアルトを飲もうと思ったが、残念ながらクローズ。

ヨーロッパの夜行列車は寝台車、簡易寝台、座席車とレパートリーが豊富で予算に合わせて選択できるのが嬉しい。

今回予約した簡易寝台は、その発想が「横になれればいいだろ?」という感じなので、その作りはなかなか凄い。

2m程のベットが3段。
ここに身体を横にするのは至難の業。
まず荷物を整理して通路上のスペースに放り込み、自分の着ていたコートやらセーターやらを脱いで横になる。
まぁ、横になってしまえば後は寝るだけなので、それほど困ることはないが、途中駅で降りる場合は、かなり大変かと想像できる。

僕の乗っていた車両の終着駅ミュンヘンでの下車だったので、ゆっくりと下車支度ができた。
ただし、最終的には携帯を忘れてまた戻ってくるはめに・・・・。(笑)

ちなみにこの列車はチューリッヒ行きと前述したが、一部の車両がミュンヘンで切り離されてチューリッヒへと向かう。

まだ朝早いミュンヘン中央駅。
とりあえずカフェで朝食を食べつつ、ベルギーで撮り貯めた写真の整理。

次回へ続く>>