フランケン地方の片隅の小さな村の醸造所。
ここでノンビリとビールを飲んでいたら、大きな音を立て醸造所に一台のトラクターがやって来た。
前面に荷台を付けて、そのまま醸造所内に突入。
実はこれ、近所の農家が麦芽の滓を貰いに来たのだ。
フランケン地方に限らずドイツの田舎では、一面畑の中に村が点在している。
周りは畑や牧場。
ここで収穫された大麦が麦芽に加工されてビールとなり、麦汁を絞り出した滓は農家に引き取られて家畜の飼料などに使われる。
写真下:湯気を立てて落ちてくる麦芽の滓を荷台に載せている。
どこの醸造所にも麦芽の排出口がある。
写真左:大きなトラックにも対応できるように、かなり高い位置に設置。
写真右:壁にポコンと何気無く出ている排出口。
ドイツは都市の規模が小さい。
どの街も少し車で走ればそこはやはり田畑の広がる風景になる。
バンベルクの旧市街地を歩いていたら、大きな音と共にトラクターが通過していった。
荷台にはやはり麦芽。
旧市街にある醸造所から排出された物である。
写真下:世界遺産の街並みを麦芽滓満載のトラクターが通る。
麦芽を運んでいたオジサンは、夜になったらこの醸造所でビールを飲んでいるのかもしれない。
この皿に乗っている豚肉は、このビールの原料となった大麦の滓を食べて育ったのかもしれない。
そんな思いにふける醸造所と農家の風景である。