何と1366年創業の醸造所。
日本で言うと鎌倉幕府が倒れて南北朝時代の喧騒の頃だが、その頃からこんな田舎街でビールを醸し続けているなんて、何だか凄い話。
場所的にも集落内の教会にも近いため、この集落の歴史を見続けてきたのだろう。
集落内には車社会に対応した道路が何本か通っているが、醸造所はそこから一本入った昔ながらの道に面している。
道に面して食堂と宿屋であるガストハウス、中庭を挟んで奥に醸造所が配置されているオーソドックスな作りだ。
店内に270席、外のテラスに50席と、まぁ典型的な田舎のガストハウスの規模なのだが、普段からそんなに多くの客が入る訳ではない。
店内の席数が多いのは、冠婚葬祭用の部屋を持っているからだと推測できる。
ビールの主な原料は麦芽。これらは醸造所の2階で煮込む。
麦芽を煮込むと滓がでるのだが、煮沸釜から出された滓は1階へと
醸造所内には地下室もあり、ここには横置きのタンクが並ぶ。
こぢんまりとしたテラス席でビールを楽しむ。
定番ビールはLager(ラーガーと言う名でヘレス)、ちょっと強めのBock(ボック)、そしてこの地方の名物Rauch(ラオホ)などのラインナップで、今回はラオホを注文。
バンベルク市内のそれとは、色がかなり薄く感じるが、実はこの位の濃さがこの地方の主流である。
一緒に注文したのはBrotzeit Teller。
(食のページを参照→GO!)
旅日記より
ちょうど居合わせたご夫婦とちょっと話をした。
フランクフルトから来たお二人は、キャンピングカーで毎年フランケン地方を回っているとの事。フランケンで毎年何を?、と聞くと・・・
「Bierreise!!(ビール巡りさ!)」
との答えが。何と、僕と同じではないか!
ご夫婦と話をしていると、一人のオジサンが現れた。
なにやらオーナーと一言二言話をして、ドドドと大きな音を立てて再登場。
どうやら麦芽の滓をもらいに来たようだ。
フランケンに限らず、田舎集落ではこの様な光景がよく見られる。
ビールを作る過程で出る麦芽の滓は、飼料や肥料として使われてまた食料となって市場に出回るのだ。
まだ湯気の立っている麦芽滓を、荷台へと転送。
■Information■
Brauerei Gaststaette Barnikel
Dorfer str.5
96158 Herrnsdorf
Tel:09502 293
<最終訪問 2009年8月>
Herrnsdorfはこんな街
人口470人ほどの小さな集落で、現在はバンベルク郡大字Frensdorfに属している。
緩やかな斜面となっており、フランケンの農地を一望できる。
教会を中心に農家が点在しているが、距離的には近いためバンベルクやフォルヒハイムへ通勤している人も多い。
バンベルクから南方へ20kmほどの位置しており、一応バンベルクからのバスもあるが、本数は限られている。