1867年創業の小さな村の小さな醸造所。
農家のような大きな建物に、とても小さい看板があるだけでわかりにくのだが、麦芽の香りがプンプンする方へ行ってみたら辿り着いた。
僕にとってはフランケンの田舎を回り始めたかなり初期の段階で訪問した醸造所のひとつ。
「Staffelstein周辺には、醸造所がたくさんある」
という情報しか持っていなかったが、バンベルクで購入したフランケン地方の集落マップを頼りにBad Staffelstein駅周辺で通行人を捕まえて情報収集。
そこから東方向のWattendorf方面へとテクテクと進んだ。
醸造所はガストホフ裏側にあった小さな建物。
清潔で美しい設備がフル稼働していて、熱気がムンムンしていた。
醸造しているビールはLandbier,Vollbier, Pilsの3種類。
前者2つは、醸造所によって解釈が違う事が多いという摩訶不思議なビールであるが、ここではLandbierはデュンケル、Vollbierはヘレス。
目の前で醸されているビールを飲もう、と思ったがこの日は定休日。
・・・というよりも、日曜しか店が開かない。
ここまで営業日が少ない醸造所も珍しい。
「隣の集落のホテルに卸しているよ」
とマイスター。
さっそく
「今から日本人が一人そっちに行くから!」
と電話をしてくれた。
醸造所を出て、テクテクと隣の集落へと向かう。
その集落の名は「End」。「終わり」と言う名の集落であるが、背後には山が迫っているので、その昔はここで道が途切れていたのかもしれない。
道端にあるホテルSchwarzer Adlerに向かった。
ここは民家が10軒ほどの小さな集落にあるホテルなのだが、創業は1570年という老舗。
当然、開業当時は小さなガストホフだったと思われるが、近くにある温泉場Bad Staffelsteinの湯治客が車社会の発達とともに、半径数十kmエリアに分散したのだろう。
あちこちにこうしたホテルが点在している。
ロビーに入ると、小さなレセプションにオバさんが一人。
「あぁ、あなたね。聞いているわよ。そちらのレストランへどうぞ。」
と指差しで案内してくれた。
小さなレストランに入ると、バーカウンターにレセプションのオバさんがいるではないか。
よく見ると、レセプションとバーカウンターは小さな扉でつながっており、この時間帯は兼任しているらしい。
サッとビールを注いで
「はい。これが我が村のビールよ」
と誇らしげにテーブルに置いてくれた。
Information
Brauerei Hetzel
Frauendorf 11
96231 Bad Staffelstein
日曜日のみ営業
<最終訪問 2004年>
(古い記録なので、あくまで「こんな場所もあるのか」という参考としてください)
Frauendorf はこんな街
Lichtenfeld郡のBad Staffelsteinに属する10数軒ほどの小さな集落。
ただしその歴史は古く1070年に建設されたFrauenkloster(女性修道院)がその起源。
ちなみにBad Staffelstein周辺には、Vierzehnheiligen、Kloster Banzと大きな2つの修道院がある。