<<前回の続き>
翌日、アントワープ市内をフラフラと散歩。
スッキリと晴れた青空に、大聖堂の白い大理石が眩しく映る。
黒ずんだ迫力のあるケルン大聖堂を見慣れているせいか、白亜のドームに最初は戸惑ったが、街のどこからでも見えるこの「白」は、慣れてくるに従ってその美しさに惚れ込む。
「アントワープならばKuriminatorだよ!」
とベルギービール紀行家のK氏に薦められたので、さっそく行ってみる。
午前11時から開店と言うことなので、朝から散歩及び撮影に時間を費やし、昼食も兼ねてビールを楽しんだ後、アントワープを発つつもりだったが、何故か店が開かない。
ノックしても、日本語で(笑)
「お〜い!」
と叫んでみても開かない。
「次回、アントワープに来るときの楽しみが出来た!」
と前向きに考えて、店を後にする。
ちなみに、以前イタリア・トスカーナ地方の小都市シエナを訪れた時、僕は街の外周を一周していたため、塔には登れなかった。夕方には閉まっていたのだ。
そのときも
「またシエナに来る良い口実が出来た!」
と気持ちを切り替えたが、その後10数年経っても行けてない・・。
アントワープ・セントラル・ステーションに戻る。
大きなコンコース、というよりもホールと言うのが相応しい空間。
とても古い感じの駅舎なのだが、駅そのものはとても立体的になっており、ここから地下何階へと続いている。
さらばアントワープ。ここからブリュッセルへと向かう。
実はブリュッセルに来るのは3回目なのだが、醸造所巡りみたいなことはしていない。
当時はそれほどの知識もなく、ちょっとその辺のカフェでビールを楽しむ程度だった。
しかし、今回の目的ははっきりしており、南駅から一路カンティヨン醸造所へ向かう。
カンティヨンはランビックで知られる名門醸造所。
もっと郊外の村にあるかと思ったら、中心部にも近い場所にあることに驚いた。
ここは醸造博物館のような形態になっているので見学できる。
ただし、現役なのでこの様に作業中の中をウロウロと進ませてもらうことになる。
写真左:ちょうど麦芽をグツグツと煮ているところに遭遇。
写真右:スタッフの邪魔にならない様に進む。
釜で煮込まれた麦汁はその後冷却されるのだが、この醸造所はその冷却工程でクールシップを用いている。
クールシップとは銅製の浅いプールで、ここに熱い麦汁を広げて外気で冷却する時。その時に空気中の酵母が麦汁に入り込み、その後の発酵工程で活躍する。
また、貯蔵には木樽を用いており、そこには木樽がずらりと並んでいる。
まるでワイナリーの様だが、世の中にはこうして木樽でじっくり寝かされるビールというのも存在する。
面白かったのは、出来上がったビールを樽に詰め、シェイク!!シェイク!!という作業工程。酵母を均等にするための作業らしい。(これを定期的にやっているのかは、不明)
見学後の楽しみに移る。
ランビックの醸造過程を一通り見学した後に、試飲コーナーでビールを頂く。
酵母が住み着いた空間で、このビールを飲むのだから、何だか全身でビールの美味しさ、ありがたさを浴びる感じがする。
ただ、ここはパブではないので、ガブガブと飲むわけには行かない。
一人、ノンビリと一杯のビールを楽しませていただいた。
そうしていると、見慣れた顔(?)が。
オーナー氏が場内をウロウロとしており、思わず記念撮影をしてもらう。
美味しいビールをいつもありがとう。メルシ・ボクー!
とメチャクチャなフランス語で会話。
さて、ちょっとだけ街歩き。
初めてブリュッセルを訪れたのは、1998年。
まだドルトムントに住んでいた頃に、遊びに来た友人と共にビールを飲みにやって来た。
その時は、今日ほど情報もなく、ガイドブックに載っていた醸造博物館を見学してが、そこで出会ったオジサンが
「美味しいビールが飲める店を教えてあげよう」
と僕等を外へ連れ出した。
まぁ、博物館の人とも親しそうに話をしていたので、怪しい人とは思わなかったが、連れて行かれたところがちょっと怪しかった。
オジサンは表通りから離れ、何と細い路地へと入って行った。
「どこへ連れて行かれるんだ??」
路地の奥にあった扉を開けると、そこは小さなビアカフェ。
その店で、瓶に入ったランビックをご馳走してくれた。
そこへもう一度行ってみたい。
というのが長年の夢でしたが、今回の旅で実現した。
パラパラとガイドブックを捲っていたら、それらしき店が載っていたので、直感的に行ってみる。
しかし、その住所に行ってみても、店がない。
そこで番号が飛んでいるので不思議に思ったが、足下を見るとビール樽が描かれたモザイクがあるではないか。
間違いない、ここだ。
路地の中を進んでいくと、袋小路になっている。
その先にある店のドアを開けると・・・・
記憶が一気に甦ってきた。
見知らぬビール好きのオジサンに連れてこられたのは、まさにこの店だ。
ランビックビールを注文すると、陶器の瓶に入って出てくる。
まずは酸味の効いたランビックをチビチビと楽しむことにする。
(750ml 4ユーロ/2008年3月時点)
一見すると何だかウイスキーかブランデーに見えなくもないが、正真正銘のビール。Lambic Doux/Zoette Lambicとメニューには二カ国語表示がされている国際都市ブリュッセルならではの光景だ。
まだ昼食を済ませていなかったので食事メニューを見せてもらう。
この店はビアカフェなので軽食が中心のラインナップで、「La Jarretiene Bruxelloise」というサンドイッチみたいな物を注文した。(8.2ユーロ)なぜかメロン付き。
ビールを満喫し、雨の街を一路駅へと向かう。
2日間と短い期間だったが、久しぶりにベルギービールを満喫した。
<次回へ続く>>