アントワープビア散歩=ドイツ・ベルギービール紀行2008(その6)=

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さぁ、次はいよいよビール。

さて、少し雨のアントワープを堪能した後、ランチへ。
小さな食堂のようなレストランだったけど、樽ビールが何種類かあったたので、さっそく注文。
最初の一杯はやはりこれ「De Koninck」。
ここアントワープで伝統的なベルギースタイルのビールを醸造する醸造所のビール。

この街に住み始めて1年ほどの友人Aは、ビールにこだわりがあるわけではないが、
「あぁ、このビールはよく飲むよ」
と言う。
理由は「そこら辺の店でよく売られているから」という
何気ない一言だが、地元のビールが地元で一番売られている・・・・・。
これぞ理想的なスタイル。

2杯目はちょっと順番が違うけどピルスナー。
ベルギーといえども、全ビール流通量のほとんどはこのピルスナーであることは、知っている人は知っているが、知らない人は知らない、という事実。

ここは家庭的な料理が楽しめるという謳いの店。
まずは牛肉のストッフブレースと言う物をいただく。
代表的なベルギー料理のひとつで、シチューの原型とも言える一皿。
いわゆる日本のシチューから連想するには、スープが無い状態で柔らか肉が皿上に並んでいる感じ。
山盛りのフライドポテトが付いてくるのが何ともベルギーらしい。

続いて、ベルギーシコンとハムのチーズソース。
シコン(Chicon)とはベルギー原産の冬野菜で、この国ではかなりメジャーな野菜。
このシコンとハムの上にチーズをタップリ掛けて焼き上げた物がこれ。
美食の国、ベルギーを満喫できたランチだった。

続いて向かったのは、細い通りに面したブラッセリー。(ビアカフェって意味)
ビアガーデンになっている中庭を通り、奥にある小さな扉を開けると、居間の様な店内に入った。
店内は落ち着いた感じの家具でまとめられている。雰囲気は酒場さんというよりはまさにカフェ。

案内された席の隣には、3人のオバサンが、昼間からビールを楽しんでいた。
(一人はコーヒーだったが)
ご近所に住む仲良しさんで、世間話をしながら午後のひとときを楽しんでいると言うが、その場所がブラッセリーでビールを片手に、というのが実にアントワープらしい。

友人Aはフラマン語(ベルギーで話されているオランダ語)を習っているため、彼女達との会話が出来きる。

「アンタは何日ベルギーを旅するの?」
「いや、明日にはドイツへ行きますけど・・・・・」
「はぁ??ドイツへ? アンタ、ビール紀行家なんでしょ?それならばベルギーが世界一じゃないの?」
・・・と言われる。

飲んだビールは、店員さんお薦めのスペシャル・クリーク。
濁っており、ちょっと舌触りの感があるビール。

港湾エリアのブルワリーへ

旧市街から少しトラムを乗り継いで訪れたのは、醸造所に併設されたパブ「T.Pakhuis」。
この様なスタイルのパブをドイツ語では「Haus Brauerei」と言うが、オランダ語(ここアントワープはオランダ語圏)では、「Huisbrouwerij」。
何となく語呂が同じなのでわかりやすい。

港に近い湾岸エリア(?)の様な街並みの中、あるべき所にあるべきこの醸造所がない。
やっと発見したのは、写真のような小さな看板一枚。
この狭い通路の向こう側に中庭があり、やっと入口を発見。

実はこの醸造所、その起源は1850年頃なのだが、この地で復活したのが1996年と10年ほど前のこと。(2008年時点での話)
店内には昔のアントワープ港の写真が多く展示されており、また何となく当時の空間を作り出したような雰囲気だ。
吹き抜け部分に設置された醸造設備。
この時は稼働していなく、作業を見ることはできず。


夕方の5時頃という微妙な時間に行ったため客はまばらだが、入口付近のオジサン達がなぜか大声で激論していたので、店内は賑やか。
さっそく、この醸造所でビールを楽しむことした。
多種多彩なビールが揃うビール王国ベルギーだが、この店のビアリストに書かれているのは、以下の三種類。
・Antwerp Blond(ブロンド)
・Antwerp Bruin(ブラウン)
・Nen Bangelijke
一枚目の写真は「ブロンド」

Antwerp Bruin(ブラウン)はその名の通り、濃い茶色をしたビール。
カラメルモルトの苦みがとても香ばしいビールだ。

ライトな色合いとは裏腹に、アルコール度数9%という強〜いビール。
最後にこれで閉めたら、フラフラになった。(笑)
そのフラフラの足で、夜のアントワープ市内を彷徨う。

次回へ続く>>