ビアガーデン団地?=ドイツビール紀行2007( その8)=

<<前回の続き>

びっくり!!ビアガーデンが並ぶ丘

ニュルンベルクから列車で少しバンベルク方面へ戻り、本日の目的であるForchheimにやって来た。
ここは、ちょうど一年前に来た街で、旧市街に4軒の醸造所が密集しているビール都市である。
(その時のレポはこちら>>)
ただし、今回の目的はこの醸造所群にあらず、町外れにある丘を目指す。
その名も「Kellerwald(ケラーの森)」。
このブログ、またはビール文化研究所の方でも何度も記載しているが、「ケラー」とはそもそも地下室の事である。
町外れの丘に造ったケラーがビールの貯蔵に利用され、その周りを整備してビアガーデンにしていることから、「ケラー=ビアガーデン」という意味になってきた。
(ケラーについての詳細はこちら)


ここ「ケラーの森」は、まさに丘全体にケラーだらけであり、実に20軒以上のケラーが営業している。
つまり、木立に囲まれた森に、ビアガーデンがずらりと並んでいるのだ。
今でこそビアガーデンがずらりだが、元々は横穴がずらりだった。
そして、その横穴に街中で作ったビールを運び込み貯蔵するのだ。

穴の中は夏でもひんやりしている。冷蔵庫が無かった時代に低温を保つために作られたシステムだが、天然の力というのは絶大で、今日でも現役バリバリで使われている。
もっともかつては冬の間に凍った川や沢の氷を運び、それらの力で冷気を維持していたが、今では電気式の冷蔵設備が補助的に設置されている場合もある。


これだけのケラーがあるということは、これだけの醸造所があったということだが、現在ではこの街に4軒しかなく、他は「醸造所のケラー」としてではなく、純粋に「ビアガーデン」として営業をしている。

ケラーいろいろ

Kellerwald(ケラーの森)を一周してみた。
一応、この先に通り抜けできるらしく、遊歩道のような、自転車道のような道が整備されていた。
この先は普通の住宅地だが、ビアガーデンの近所とは羨ましい限り。
数あるケラーのうち、緑に囲まれた一軒に入る。
丘のほぼ山頂にあるのだが、視界があるわけではなく、木立の中のビアガーデンといった雰囲気。
ここに入ったのは「ほどよく混み」「ほどよく空いている」といった理由からである。
隣のビアガーデンは団体さんが来ているらしく、ものすごい人であった。
このアングルからだと分かりやすいが、このビアガーデンの場合は左にある屋根の下がケラー(貯蔵庫)への入口だ。
「Keller geoeffnet」とは「ケラー開店しています」の看板である。
これを見ると、ああ暖かくなったなあ、と思うのがフランケンの人々だ。

セルフ?非セルフ??

ビアガーデンなので、もちろんビールを頼む。
実はビアガーデンには、大きく分けて二つのタイプがある。
「店員が注文を取りに来る」か「セルフサービス」か、である。
しかし、ここはどちらにも当てはまらないタイプだった。
それは……「面倒な人には注文を取りに来てくれる」ということだ(笑)。
早く飲みたい人は、自分でカウンターまで行ってビールを注文すれば良い。
その場で、あいよ!とビールを注いでくれる。
しかし、のんびり、ゆっくりと飲む人は、じっくりと腰掛けて待っていれば良いのだ。
腰に会計用の財布をぶら下げた店員が近寄って来て、注文を取り、そしてビールを運んできてくれる。
料理については、「Brotzeit」と呼ばれる軽食類はセルフ。
暖かくしっかりとした料理は、非セルフである。
システマチックが売りのドイツでも、ビールな現場では結構いい加減だったりするのが、なんだか人間的で良い。
<Brotzeitについてはこちらを参照>

洞窟を覗いてみる

Kellerwald(ケラーヴァルト=地下室の森)と言われるだけあって、丘のあちこちにケラー(地下室=ビールの貯蔵庫)がある。
ちょうど、空いた樽を交換している店員さんがいたので、声を掛けてパチリと撮影した。
僕はあちこちのケラーを見学しているが、これだけ多くが密集しているのは初めてである。
一つ一つの長さは、それほどでもなさそうだが、数十mおきに現れるケラーは圧巻だ。
10数軒あるビアガーデン全てを訪れるのは不可能なのだが、もう一軒行ってみることにした。


丘の入口近くにあるGreif’s Kellerに立ち寄る。
この丘の数あるケラーで飲まれているビールは、ここForchheim(フォルヒハイム)のビールばかりではないが、ここは正真正銘、この街のビールである。
昔は街の中で作られたビールが、ここで貯蔵され夏を越したのだろう。
もちろん、今では冷蔵設備が充実しているので、その必要はないのだが、それでもこのケラーを使い、季節がくればケラーに人が集う。
まさに、ビールの国における風景である。

カレーソーセージ、大盛り

2軒目のケラーでは、カレーソーセージ(Curry Wuerst)を注文した。
別に大盛りを頼んだわけではないのだが、出てきた皿を見てその量にびっくり。
ポテトに関しては、フレンチフライかマッシュポテトの選択ができるところもあるのだが、ここはフレンチフライのみであった
(ちなみにフレンチフライは「Pommes(ポメス)」)。
ここでもビールはKrug(クリューク)と呼ばれる陶器製ジョッキに入っている。
中身はちょっと褐色がかったデュンケルだ。
当たり前の話だが、陶器ジョッキだと色が分からない。
しかし、ビアガーデンでは保冷性を考えて陶器ジョッキを使用しているところが多いようだ。
三々五々に集まってくる人々。
ミュンヘンと違い公共交通が発達していない田舎町Forchheim(フォルヒハイム)なので、皆、歩きか自転車、または一人をドライバーにして車でやって来る。

再訪した醸造所でビールを一杯!

ビール紀行の楽しみは、次々と醸造所を巡っていくことだが、その他の楽しみとして「再訪」がある。
この街に来たのは2回目。
この時から1年ちょっと前、2006年GWに立ち寄った。
フォルヒハイムには、醸造所直営店が3軒並ぶ通りがあり、その内の一軒に長居した。
今回はまだ列車の時間まで余裕があったので、ちょっと立ち寄る。

こちらは若旦那の事を覚えていたので、声を掛けたら、ビールをおごってくれた。
再訪された事がよほど嬉しかったらしく、帰り際には瓶ビールをお土産にくれた。
ここから列車でバンベルクへ戻り、これまた飲んだくれの1日が終わる。

<次回へ続く>>