<<前回の続き>
Bambergから西方向のTrabelsdorfへ向かう。
天気もまぁまぁだったので、マイン川沿いの自転車道を延々と走り2006年秋に訪れたBischbergへ、そして、ここから丘陵地に突入!
それほどの坂ではないが、あまり良い自転車ではないので結構辛い道程だった。
丘を登り切ってしまえば、後は下り坂が続きTrabelsdorfに到着。
後で知ったのだが、ここまではバスもあるため、何日か後にはここまでバスに自転車を載せてやって来た。
そしたら、バンベルクからの所要時間は僅か20分くらい・・・。
さて、この集落のバス停を降りて、まず目に飛び込んできたのは「Schlossbraeu(シュロスブロイ)」という看板。
Schlossとはお城の事。その付属醸造所として稼働していたらしいが、近づいてみると既に閉鎖されている模様。
フランケンの田舎には、確かに醸造所は多いのだけれども、この様な閉鎖していく醸造所もかなりある。
実際、途中通ってきた集落にも、閉鎖された醸造所が残っていた。


閉鎖された醸造所の脇にある坂を下った所にあったのが、「Brauerei Beck」。
緑の看板だからブレーメンの「Becke’s」と似ているが、もちろん別。
ここが何と定休日!
しかし、定休日といっても人が居たので、ダメモトで声を掛ける。
ドイツが話せる者の強みのように聞こえるが、笑顔さえあればOK。逆にドイツ語堪能でも、笑顔がなければNG。
「せっかく来たんだから、見ていけよ」
とブラウマイスター氏が醸造所内を案内してくれることに。
醸造所の創業は1895年とそれほど古い訳ではないので、設備は創業の頃からの物だろう。
釜ではちょうど麦芽がグラグラと煮えていた。


地下には貯蔵庫があった。
醸造所近くの丘にこういう穴を掘ることが多いが、ここは敷地内に「地下室」として掘られていた。残念ながら今は使われていないが、一応資産としては残してあるようだ。
集落自体が坂が多いので、建物の裏山に横穴を掘り、それが醸造所の建物と繋がっていると考えられる。
建物の上階にはホールがあった。
田舎の醸造所の多くは、ビールを飲むためのガストシュテッテとは別に、こんな宴会場を持っている。何に使われるのかというと「冠婚葬祭」。
集落の人が集まって何かやるときには、こういう場所を使うのだ。
古い集落では、醸造所と教会は近くにあることが多いので、結婚式にも葬式にも便利。


また「Ausschank(アウスシャンク)」と呼ばれる「販売所」もある。
醸造所内にはこのような販売所が併設されている所が多い。ここは倉庫の一角がそれに当てられている。
ビールだけではなく、ソフトドリンクや、ここでは醸造していない種類のビールを近くの醸造所から仕入れて売っている。
訪問した日はガストシュテッテは休みだったが、このAusschankは営業中。
店は開いていないが
「ビールを飲んでいくかい?」
と言うのでどうするのかと思ったら、何とタンクから直接注いでくれた。
ビールはZwickelbier。ノンフィルターでビタミンが一杯、健康によさそうだ。


醸造所の庭でビールをいただく。
店は開いていないものの、アウスシャンクに何人もの人が買い物に来ては、女将さんと一言二言交わていく。
フランケンの田舎町、午前中の静かなひととき。


な~んにも無い、ただビールがあるだけの村
Brauerei BeckがあったTrabelsdorfはマイン川から一つ丘を越えた内陸にある集落へ。
ここからはフラットな道がずっと続くため、のんびりとしたビール紀行が楽しめた。
2~3キロの所でPriesendorfに到着する。
ここで本日2軒目の醸造所Brauerei Schrueferに立ち寄る(住所:Haupt str 31. 96170 Priesendorf)。
創業は1890年。
親子4代に渡って続く典型的な「Familie Brauerei(家族所有の醸造所)」で、この集落の位置的にも文化的にも中心にあるような店である。
一番目の写真のように、赤い建物が通りに面して位置している。


ここは醸造所としての創業前から、普通の食堂としての営業をしていたようだ。
写真のように中庭は駐車場になっており、その裏手に醸造所がある。
ただし、このような小規模な醸造所では毎日ビールを造っているわけではなく、残念ながらこの日は休醸日であった。
店内に入ると、ガランとしている。
時間的には午後2時過ぎなので昼のピークが終わった頃かと思ったが、周辺は農家ばかりなので昼に食事を摂りにやってくる人はいないだろう。
逆に朝から営業しているのが不思議でならない。
ビールは一種類のみ。ここでは「Vollbier(フォルビア)」と呼ばれていた。
この醸造所の場合それはカテゴリー的には「Dunkel(ドゥンケル)」。
ドゥンケルもヘレスも「フォルビア」の一種なので間違いではないが、紛らわしいことは確かである。
フランケンの田舎にはこうして一種類しか造っていない醸造所がかなりある。
ちなみに、この醸造所では店内での樽出しを楽しめるものの、瓶ビールを他へ卸していない。
飲みたければこの醸造所に来るしかない、という「究極の地ビール」なのだ。
「食事は何かできますか?」
とオーナー氏に聞くと
「元々、うちのメニューはKaltes Essen(カルテス・エッセン=冷たい食事)しかないよ」
とのことである。
Kaltes Essenとは基本的に加工食品を切って盛るだけの物である。
これらをBrot Zeit(ブロートツァイト)とも言うことをメインサイト「ビール文化研究所」及び「旅の手帖」でも何度か紹介している。
「ウチのPresssack(プレスザック)は自家製で美味しいよ」
とオススメしてくれたのでそれを注文した。
「君は中国人かい?」
オーナー氏が興味深く聞いてくる。
「いや、日本人です」
バンベルクではよく見かけるが、さすがにここまで来る人はいないようで、
「20年ほど前、ブラウマイスターの修行を終えて帰ってきた頃に、一度日本人が来たことがあったなあ…」
と天井を眺めながら呟いた。


裏庭のビアガーデンと「お犬様」のビール
Priesendorfの醸造所Brauerei Schrueferには、ビアガーデンがある。
道路に面しているGaststaette(食堂)の横に小さな門があり、覗いてみるとちょっと広めの庭にテーブルを並べただけのシンプルなビアガーデンであった。
週末ともなればここにビアサーバーを出して営業するそうだが、平日でも店内のビールを持ち出して飲むことくらいならばOK。
週末に活躍するのは、このグリルである。
「ここでソーセージや肉を焼くんだよ」
と、オーナー氏が嬉しそうに話をしてくれた。


ビアガーデン側の厨房兼ビール売り場の横に、こんなスペースがあった。
壁際に犬用の受け皿が置かれている。
看板には「Hundebier(犬のビール)」と書かれている。
ドイツには犬用のビールがあるのか!と思ったが、これはもちろん看板である。

ただし、ここにビールを入れるかどうかは、飼い主の判断に任せる、ということだ。
醸造所の前の道は、小さな古い集落らしく、醸造所と教会の立地が近い。
<次回へ続く>>
